- 1. 色覚多様性にはAmongUsなどのゲームに支障があるタイプも?
- 2. 実際にAmongUsのカラーはどのように見えるのか?
- 2.1. ブラウザ(Chrome)で色の見え方を確認する方法
- 2.2. ColorblindlyでAmongUsのクルーを表示
- 2.2.1. Trichromacy / Normal(3色覚・正常色覚、正常3色型色覚・正常色覚)
- 2.2.2. Blue Cone Monochromacy / Achromatomaly(異常3色覚、異常3色型色覚・色弱)
- 2.2.3. Monochromacy / Achromatopsia(1色覚、全色盲)
- 2.2.4. Green-Weak / Deuteranomaly(2型3色覚、第2色弱・緑色弱)
- 2.2.5. Green-Blind / Deuteranopia(先天赤緑色覚異常)
- 2.2.6. Red-Weak / Protanomaly(1型3色覚、第1色弱・赤色弱)
- 2.2.7. Red-Blind / Protanopia(1型2色覚、第1色盲・赤色盲)
- 2.2.8. Blue-Weak / Tritanomaly(3型3色覚、第3色弱・青色弱)
- 2.2.9. Blue-Blind / Tritanopia(3型2色覚、第3色盲・青色盲)
- 3. まとめ
色覚多様性にはAmongUsなどのゲームに支障があるタイプも?
用語について前置き
色弱、色盲といった言葉を聞いたことがあるかと思います。
ほとんどの人が今もこの言葉を使っているかと思いますが、盲という表現が差別的じゃないかということで「色覚異常」と(医学用語で)呼ぼう!となりました。
正直私は
- 「色覚異常」という呼び方は差別的ではないのだろうか?
- 色弱や色盲はその状態を表した言葉なだけではないだろうか?
- はたして侮辱の意味を込めて使用している人はどれほどいるのか?
というのが疑問でした。
色覚異常の人を侮蔑し差別する人は問題ですが、言葉は関係ないよねと。
でもやっぱり、そう呼ばれる人自身がどう感じるかが大事で、イメージが良くないのであれば変えようという話が出てきます。
「色覚特性」といった用語もあったのですが、いよいよ数年前には「色覚多様性」という呼び方が提唱されるようになりました。
いい感じですね!
しかし「色覚多様性」が提唱された時期には、デザイナー界隈でもそんなに大きな話題になった記憶がなく(私の周囲だけかもという可能性はあります)、いまいち浸透していない気がしています。
カラーユニバーサルデザイン機構(CUDO)では色覚異常、色盲というのをすべてひっくるめて「色弱」という呼称にしている経緯があり、CUDに関する話題ではそちらに準じている可能性があります。むしろCUDについて広まっているデザイナー層に「色弱」が浸透しすぎているためかもしれません。
現行の医学用語では「色弱」という表現はなくなっています。(といっても、現行でも色覚のタイプによって「正常色覚」「異常3色覚」という用語は残っています。)
「色覚多様性」自体はそのものを表すのには良いと思うのですが、その中で比較的少数派の人のことを表そうとすると、今のところどうしても「色弱者」しか呼び名がないんですよね。
遺伝子の「優性・劣性」も「顕性・潜性」になったんだし、強弱ではないもっと違う呼び方があればいいのになと思います。
ちなみに「色覚多様性」という呼び方を提唱しているのも日本遺伝学会です。
というわけでこの記事でも「色弱」その他一般に知られている以前の呼称を使っていきます。
追記:読み返したらネガティブな印象になっている言い方があるなーと思い直したので、文章を少し整理・加筆しました。
Pixivで白黒のイラストが人気の理由
色盲は色を認識できず、世界が白黒に見える状態のことを言います。
色弱というのは色は見えるものの実際よりもくすんで見えていたり、一部の色の区別ができないなどの状態のことを言います。
色弱の方の話でよく聞くのが、ぷよぷよが嫌いっていうやつです。
色の区別がつかないのでまともにプレイできないと。
いちおう、ぷよってよーく見ると表情が違ったり形が違ったりするんですけど、とくに昔のブラウン管のテレビではほぼ区別もつかないし、プレイに支障があったことでしょうね(今もなのかもですが)。
パズドラなどは、色だけでなくモチーフが描かれていて、色が見えなくても遊びやすくなっています。
先天的に女性より男性の方が色弱になるケースが多いです。
色弱にもいろいろなタイプがありますが、似通った色の違いがわかりにくいこともあり、パキッとした配色が好まれることが多いです。
たとえば武内直子先生のセーラームーンのカラーイラストなどがわかりやすいと思いますが、少女漫画では淡い色やグラデーションを多用した繊細なイラストが多いです。少年漫画だと、尾田栄一郎先生のワンピースのカラーイラストはわりと色の区切りがはっきりとしています。
前者のような色使いだと、正常色覚の人にとってはカラフルで綺麗に見えるイラストも、色弱の人にとっては色の差がわからずのっぺりした塗り方に見えたり、錯覚によってパースが狂って見えたりすることもあります。
白黒のイラストの場合はそういった現象が起きず、描いた通りに、誰の目にも同じイラストに見えます。
そのため、力作のカラーイラストよりも、あっさりと描いた白黒イラストのほうが評価されてしまい落ち込む絵描きが出てきたりします(悲しい)。
いやいや、実はみんなが同じように見えているわけじゃないから!
デザインの現場では、作っている途中でいったん白黒にして、コントラストなどをチェックしたりします。
イラストも、グレースケールにしてみてなんだか潰れてるな〜とかイマイチと感じる場合は、色弱・色盲の人にはそういう雰囲気のイラストに見えてしまっているかも。
声優の中村悠一さんが色弱CO
1年くらい前だったと思うんですが、YouTubeの「わしゃがなTV」で中村さんが色弱であると発言していました。
該当の動画探すの大変なのでここでソース出せませんが、普通にこのチャンネル面白いのでみなさんぜひ観てください。
(ぶくちゃん先生の絵ぜんぶ画集にして出して欲しい)
その後の動画でも、名探偵コナンのチョコエッグの回ではフィギュアの白とピンクの区別がつかない、鬼滅の刃トレカの回ではレアリティを示すカラーの区別がつかない、といったリアルな反応をしていて、うおおめっちゃ参考になるなあ〜〜〜と思いながら視聴しました。
そのたびに梶田さんが「すみませんセンシティブな部分を」みたいなことをちょっとわざとらしく言うんですけど、あれは色弱いじりなのであまり気持ち良くはないんですよね。「ああ、そういえばそうでしたね」みたいな感じで、中村さんはそう見えるタイプ、という個性として流してもらえるといいのになって。(中村さんというより視聴者への配慮としての話)
キャラの服の色なんてわからなくてもさほど困らないと思いますが、トレカのレアリティがわからんってのはなかなかしんどそうです。悪魔城ドラキュラの配信でも、ドロップしたアイテムが見えないといったこともありました。
いやまじで大変ですよね?
中村さんがどのタイプの色覚かわからないんですが、昔クロス探偵物語をプレイしてたっていう事実が気になりすぎて昼しか眠れません。(めちゃくちゃ好きなゲームだったんで配信でやってくれて嬉しかった)
で、とある回で「花江くんとAmongUsとかやりたい」みたいなことを言っていたと思うんですが、それ聞いた瞬間に思ったね、「色どう見えるんだ???」と…同時に、「色弱の人がAmongUsどう見えているのか発信してもらえるチャンス!!」という期待をしていました。
Gartic Phoneで赤いものを茶色く塗るYouTuberを笑わないでほしいという話を追加したかったのですが長くなるので別の記事にしました。
実際にAmongUsのカラーはどのように見えるのか?
さて、やっと本題です。
ただでさえ色の種類が多くて似ている色もあるのに、私みたいにRightHandManのスキンを好むやつがいるとカオスになりますよね。
見分けをつけるためのカラーの面積が、右向きで半分、左向きだと半分以上減ってしまっています。
実際に色弱・色盲の方にはAmongUsのクルー画像のカラーの違いはどのように見えているのでしょうか?気になりますね。
webデザインでよく使う確認方法がありますので、それを利用していきます。
ブラウザ(Chrome)で色の見え方を確認する方法
有名どころでColorblindlyというアドオンがあります。
アドオンを起動するとこのようなモーダルが表示され、色覚のタイプを切り替えることができます。
実はChromeのアップデートにより、DevToolsでエミュレートすることが可能になりました。アドオンなしでも使えるので便利です。
ただ私のChromeにはすでにColorblindlyが入っているのと、比較できる種類が多いので、Colorblindlyで表示を切り替えてスクショをとりました。
ColorblindlyでAmongUsのクルーを表示
カラー名はゲームの仕様上の名称をカタカナで表記しています。
Trichromacy / Normal(3色覚・正常色覚、正常3色型色覚・正常色覚)
大多数の人の見え方です。
といっても、ディスプレイによって色の見え方は若干変わったりしますので、正常色覚であってもみんながまったく同じように見えているとは限りません。
Blue Cone Monochromacy / Achromatomaly(異常3色覚、異常3色型色覚・色弱)
彩度が低く、全体的に暗く見えます。
度合いにもよりますが、画像程度の彩度があればカラーの区別はつきそうです。
もともと彩度の低いタン、ブラウン、マルーンが近づいてしまうので、そのあたりの区別がつきづらくなっているように感じます。
Monochromacy / Achromatopsia(1色覚、全色盲)
いわゆる色盲で、色味の区別がなく明度の差のみしかわかりません。
AmongUsが一気にハードモードになります。
一応、プレイヤー名を見て判別することは可能だと思いますが、不利にならないように他のプレイヤーに協力してもらう必要があります。
たとえば全員がプレイヤー名をわかりやすくする、議論の際にはカラー名ではなくプレイヤー名を呼ぶ、など。
野良プレイは厳しそうですね。
Green-Weak / Deuteranomaly(2型3色覚、第2色弱・緑色弱)
日常生活で赤いランプは暗く見え、緑のランプは眩しく見える経験ありませんか?
もともと人間の目は緑への感度が強く、青への感度は正常色覚の人でも少しだけ弱い傾向にあります。
画像だとRGBのGの出力が弱いため若干彩度が落ちていますが、プレイにはさほど影響がなさそうに見えます。
Green-Blind / Deuteranopia(先天赤緑色覚異常)
赤と緑の区別がつきにくいタイプです。
色覚異常とされる中でももっとも人口が多く、男性で20人に1人、女性で500人に1人とされているので、クラスに1人くらいいて当たり前です。
AmongUsではグリーン、ライムが緑系統のカラーになっていますが、明度・彩度・色相の振り方に差があるため、赤系統のカラーとの区別はつくように見えます。
ただしプレイの難易度はかなり上がってしまうと思われます。
Red-Weak / Protanomaly(1型3色覚、第1色弱・赤色弱)
赤みが低くなってしまうタイプで、レッドやピンクの彩度の下がり方が顕著です。
オレンジとコーラルで赤みの差が減ってしまい区別がしづらいように感じます。
Red-Blind / Protanopia(1型2色覚、第1色盲・赤色盲)
ここまで来るとかなり厳しく感じます。
コーラルとライムに差がほとんどありません。
ホワイトとローズも、赤みでの区別がしにくくなっているため、プレイ中に見間違えることが多そうです。
ホワイトが本当にホワイト(#ffffff)だったらまだ良いのですが、実際には若干青みがかった色味がついてしまっているため、明度差が少なくなってしまっているんですね。
それ以外のカラーも、正常色覚の人が画像で見る分には区別がつきますが、ゲームのプレイ中にカラーを区別して覚えるのはかなり難しいでしょう。
1色覚の人と同様の対策をしてプレイする必要がありそうです。
Blue-Weak / Tritanomaly(3型3色覚、第3色弱・青色弱)
若干レトロっぽい印象がありますね。
これはこれで好きという人もいそうです。
パープルの明度が下がり、青みが減ったことによって、むしろブルーやブラックとの区別がつきやすくなっている気がします。
プレイには支障はなさそうに見えます。
Blue-Blind / Tritanopia(3型2色覚、第3色盲・青色盲)
青みの要素がなくなり、緑みが目立つようになりました。
ブルーが緑色に、シアンもターコイズっぽい色になっています。
グレーとライムはパッと見ではほぼ区別がつきません。
ほかにもグレーとパープル、バナナとローズの間にもあまり差がありません。
次点で、赤みに寄ってしまったオレンジとレッド、青みの減ったグリーンとブラックが紛らわしいですね。
赤系統が全体的にしんどいです。
まとめ
Innerslothのデザイナーならびにプロジェクトのメンバーがどこまで検討してこれらの色に調整したのかまでは定かではありませんが、うまいなーと思ったのは、圧倒的に数の多い先天赤緑色覚異常に対してきちんと色の区別が可能なバランスにしているところです。
一応そのほかのタイプでも、スキンやユーザー名などを工夫して区別すればプレイは可能です。
個人的にはターコイズとかラベンダーといった新色が欲しいんですが、おそらくカラーユニバーサルデザインの観点からいうとかなり混乱を招く色になると思うので、残念ですがあまり期待できそうにないですね。
色覚のタイプによらずゲームを楽しめるよう、たとえば「全員同じカラーになって、用意された区別しやすいスキンを選択するモード」があってもいいんじゃないかと思います。
色覚がゲシュタルト崩壊してきた…